映画『蛍火の杜へ』44分に隠されたメッセージとは!夏目友人帳の作者とスタッフが手がけた青春を考察

2011年9月17日に公開された『蛍火の杜へ』は、夏目友人帳の作者、緑川ゆき先生の読み切り作品。44分という短編映画ですが、その魅力とはいったい……。

今回も私が大きくふたつに分けて考察していきます!

作品情報

「夏目友人帳」で知られる漫画家・緑川ゆきの同名コミックをアニメーション映画化。
夏休みに祖父の家に遊びにきていた少女・蛍は、
妖怪たちが住むといわれる「山神の森」で迷子になってしまう。
途方に暮れる蛍の前にキツネの面を被った少年ギンが現れ、
ギンに助けられた蛍は、毎年夏にギンのもとを訪れるようになる。

いつしか2人はひかれ合っていくが、ギンは人でも妖怪でもなく、
触れると消えてしまうという不思議な存在だった。
年月を重ね、幼い少女だった蛍も成長して高校生になるが、ギンは出会った時のまま。
そんなある夏、2人は妖怪たちの夏祭りにでかけるが……。
大森貴弘監督ら「夏目友人帳」のアニメ版を手がけたスタッフが集う。

2011年製作/44分/日本
配給:アニプレックス、NAS

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ネットでの声

みなさん、浴衣は着れましたか? それでは祭り会場にいきましょう。


※ネタバレを含みます。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。


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◯夏目友人帳の世界観

冒頭やタイトルで述べたとおり、本作はアニメ『夏目友人帳』のスタッフが製作しております。

特徴としては、「田舎の夏」。

キャラクターや音楽の雰囲気が優しく、安心感のある作品となっています。

特に森や畑など、緑の描写は他の作品と比べて緻密に描かれています。

また、特徴的な描写をしているシーンがあります。

それは「手を繋ぐ」です。

メインキャラのギンは人間に触れることができません。

ゆえに木の棒をかえしてヒロインの蛍と手を繋ぎます。

別のシーンでは幼少期の蛍と彼女の祖父が手を繋ぎます。

これは「人間」と「そうでないもの」の差を強調しています。

他にも手を繋ぐシーンは印象的に描かれていますので、見返してみると面白いかもですね。

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◯純粋すぎた恋愛と成長

本作は大人になったヒロインが過去を語るところから始まります。

幼少期の蛍はギンと遊ぶのが楽しみでした。

あるとき、ギンに対して「絶対に触れないでね」といいます。

これは蛍にとってギンは遊び相手であり大切な友達だったからです。

触れれば会えなくなるという寂しさから生まれた言葉です。

ときは過ぎて高校生。

彼女の心境に変化がありました。

窓から遠くを眺める、ご飯を残す、眠れないなど。

恋煩いの描写を間接的に並べていき、

シーンのラストに「ギンに会いたいです」「ギンに触れたいです」と述べています。

ひとつ目は純粋な恋心、ふたつ目は募り募った切実な想い。

彼を思っているからこそ触れられない。

そんな感情を持った蛍の声優、佐倉綾音さんの言い分けが胸に刺さります。

ここからは私の個人的な考察です。


ギンが消えるとき蛍のような光が全身を包みます。

そして今までの想いをほんの数秒、つまり蛍の命のように短い時間で彼女は積年の想いを抱きしめて伝えます。

また、その後の帰り道では蛍が周りを飛んでいました。

この蛍はおそらく彼で、彼女のために夜道を照らしているのでしょう。

これが『蛍火の杜』なのです。

最後に蛍がいった「行きましょう」の意味は、

「いつものように会いにいきましょう。彼がいる蛍火の杜へ」

という意味です。

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終わりに

いかがでしたか?

タイトル回収やキャラクターの緻密な感情描写はとても44分とは思えないほど満足感があります。

彼がいなくなっても就職先をあの地にしたのは、それほど彼と思い出を愛していたのでしょうね。

みなさんは思いやりのある愛をしてますか?

それでは次の考察でお会いしましょう。チャオ♪

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