2013年7月20日に公開された『SHORT PEACE』。
今回紹介するのは第三部の『GAMBO』です。
この作品は設定に関して説明はなく、ラストは少女の「信じねぇと思うけど」で幕を閉じます。
監督もそれについて語っておらず、完全に観客依存になっています。
ということで、今回はそんな「GAMBO」の正体に迫ってみます!!
次の駅は「GAMBO」、お忘れ物のないようご注意ください。
※ネタバレを含みます。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
作品情報
「AKIRA」「スチームボーイ」の大友克洋監督を筆頭に、森田修平、安藤裕章、カトキハジメの4人の監督が、それぞれ「日本」をテーマに手がけた4つの短編と、森本晃司によるオープニングアニメーションで構成されるオムニバス。望まぬ縁談を持ちかけられた江戸の町娘・お若は、思いを寄せる火消しの松吉と結ばれないことを嘆いてある行動をとるが、それが恐ろしい事態を引き起こしてしまう(「火要鎮」)。
18世紀、深い山中で道に迷った男は、雨宿りに入った祠で、捨てられた傘や着物、道具などの怨念から生まれた物の怪に遭遇。男は傘や着物を修繕し、怨念を鎮める(「九十九」)。
戦国時代末期、東北地方の山中に恐ろしい鬼が出現し、近くの村の娘たちをさらっていく。最後に残された村の娘カオは、人の言葉を理解する白い熊のガンボに鬼を退治してくれと救いを求める(「GAMBO」)。
近未来の廃墟と化した東京の町に、武装した5人の小隊がある任務を帯びてやってくる。しかし、無人兵器と遭遇したことから戦闘状態に突入し、小隊の運命は狂い始める(「武器よさらば」)。
2013年製作/68分/G/日本
配給:松竹
ネットでの声
たつき監督がCGスタッフとして参加したという、オムニバス映画『SHORT PIECE』を観てました。
『火要鎮』『GAMBO』にクレジットされてましたが、こういう作品に関われたこともセンスに影響しているのでしょう。
たつき監督は構図を特に重視する。象徴的表現、様式美を優先させる「形式主義者」です。 pic.twitter.com/X0om33bEBX
— マサムネ内記 (@masamune_nike) June 1, 2020
『SHORT PEACE』ってオムニバス映画の「GAMBO」に出てくる鬼の描写がキモ怖くてよかった。 pic.twitter.com/uxdmzw0xRk
— masagoro 28才 (@maccaroni_MA356) May 11, 2019
◯不可解な点
・家や物、キャラクターは江戸時代。
・とある侍は十字架の着物。パンツを履いている。「悪魔」というセリフ。
・少女が白熊を「GAMBO」と呼ぶ。
・森の中に不時着した宇宙船らしきもの。その周りに奇妙な黄色い粘菌。
・人間のような動きをするGAMBO。
こう見てみると不可解な点が多いですね。
皆さんも気になりましたか?
◯その1「鬼が異星人説」
本作は近ごろ女性が鬼に攫われているという話がメインです。
宇宙船の中にいた女性は強制的に妊娠させられ、何度も鬼の子を産まされてました。
宇宙船を住処としているということで鬼は別の星からやってきて子孫を増やしていると考察されます。
GAMBOは元々人間で、その集落の村人だったと仮定すると辻褄が合います。
宇宙船の周りにあった粘菌によって白熊に姿を変えてしまった。
そして少女はその正体を見抜きました。
「GAMBO」は本名ではなく彼女が呼んでいたあだ名でしょう。
ゆえに少女が最後に「信じねぇと思うけど」とみんなに説明しようとします。
◯その2「もうひとつの地球説」
キリスト教徒、少女、GAMBO(元人間)は宇宙船に乗って近代的な地球から脱出します。
脱出の原因は“黄色い粘菌”。しかし途中でトラブルがあってとある星に不時着します。
そこは彼らが住んでいた地球と瓜二つでした。
しかし科学技術は大幅に遅れており、その星に住んでいる人は江戸時代のような農業生活をしていました。
つまりこの星は地球と対をなす惑星であり、似たような歴史を辿っている最中だったのです。
墜落の際、緊急脱出装置で逃げますが、三人はバラバラになってしまいます。
近代的な地球から脱出という目標は叶いました。ゆえにキリスト教徒の男は侍に、少女は村で生活をすることにしました。
GAMBOは宇宙船を見つけましたが、そこには鬼がいました。
襲われそうになったGAMBOはやむ終えず、宇宙船に積んであった“薬”を使って白熊に変化します。
GAMBOが侍と少女を襲わなかった理由は仲間だったからであり、戦闘シーンでプロレス技が多いのは人間だったころに習得したものだったから。
こんな風に僕は考えました。
まとめ
いかがでしたか。
本作はわかりそうでわからない、そんな印象を受けます。
みなさんはどう考察しましたか? 友達と話し合うのも楽しそうですね。
さて、次がラストになります。どんな作品が待っているのでしょうか。
次は終点『武器よさらば』、お出口は……。
次の考察までお待ちください。チャオ♪